研究課題/領域番号 |
09558083
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
遠藤 玉夫 財団法人 東京都老人総合研究所, 糖鎖生物学部門, 研究室長 (30168827)
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研究分担者 |
佐々木 翼 財団法人 東京都老人総合研究所, 糖鎖生物学部門, 研究員 (40291132)
佐藤 雄治 財団法人 東京都老人総合研究所, 糖鎖生物学部門, 研究員 (90280768)
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キーワード | 質量分析計 / 糖蛋白質 / 糖鎖構造 / 高分解能 / メタステーブルイオン / 構造異性体 |
研究概要 |
フーリエ変換質量分析計で2-aminobenzamide(2AB)標識糖鎖の検出感度に関する検討を加えた。マトリックス支援によるレーザー脱離イオン化法(MALDI)で測定したところ、いずれの糖鎖も10ピコモルで良好なスペクトルが観察できた。いずれの場合もナトリウム付加イオンとして観測されたが、高マンノース型糖鎖はそれに加えてカリウムおよびプロトン付加イオンが観測できた。この結果より、複合型糖鎖に比べて高マンノース型糖鎖の方がイオン化効率が良い可能性が考えられた。また、多段階マスフラグメント解析へ向けた準備が整った。マトリックス支援によるレーザー脱離イオン化法飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF/MS)で、2AB標識糖鎖の各酵素分解物の分子量を測定してみると、従来使用していたゲルろ過カラム法の千分の一位の感度、つまり10フェントモルで良好なスペクトルが得られ正確な分子量が決定できた。さらに、この方法は複数の検体を同時に測定でき、糖の結合位置の違いによる影響を受けなかった。また、それぞれの分析に要する時間は、10分以内と大幅に短縮することに成功した。一方、3本鎖複合型糖鎖2AB誘導体についてPSD(Post Source Decay)-modeでメタステーブルイオンを測定してみると、約2ピコモルのサンプル量で良好なスペクトルが得られた。得られたスペクトルを解析してみると、還元末端側からおよび非還元末端側から単糖が一個ずつ外れてゆく二通りの解裂パターンがあることが明らかになった。さらに、糖結合位置の異なる様々な構造異性体について詳細にスペクトルを解析してみると、結合位置特異的な解裂パターンを示すことが分かった。今後様々な糖鎖についてスペクトルデータの蓄積を進めれば、糖鎖構造の予測が可能になるものと期待される。これらの技術を利用し、感染プリオンに係わる糖鎖異常を発見した。
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