研究課題/領域番号 |
09558087
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
牟田 達史 九州大学, 医学部, 講師 (60222337)
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研究分担者 |
田中 重則 生化学工業(株), 開発企画部, 診断薬室長(研究職)
川畑 俊一郎 九州大学, 理学部, 助教授 (90183037)
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キーワード | プロテアーゼ / 異物認識 / 体液凝固 / β-グルカン / カブトガニ / 真菌 / 前駆体 / 生体防御 |
研究概要 |
節足動物の一種であるカブトガニの血球細胞内顆粒には、感染菌表層物質に応答して活性化する体液凝固因子が存在する。これらの因子は、血球細胞の活性化にともなって体液中へと放出され、グラム陰性菌のLPSや真菌の(1→3)-β-D-グルカンなどの存在下、プロテアーゼ前駆体の連続的な活性化をともなうカスケード機構を介して、速やかに体液のゲル化を引き起こす。この体液のゲル化は、止血のみならず、感染薗の被包化に機能する。 我々は、この系の解析の過程で、β-グルカンに反応して自己触媒的に活性化するプロテアーゼ前駆体、Factor Gを発見した。カブトガニ血球細胞より精製されたFactor Gは二つのサブユニットが非共有結合で会合したヘテロダイマーのタンパク質であり、37kDaのサブユニットβがセリンプロテアーゼ前駆体の構造をもつのに対し、72kDaのサブユニットαは細菌や植物由来のタンパク質に相同性をもつ三種のドメイン構造よりなるモザイクタンパク質である。 Factor Gは1ng/ml以下の(1→3)-β-D-glucanによって両サブユニットともに限定水解を受けつつ活性化され、活性型セリンプロテアーゼへと変換される。この際、glucanとFactor Gの濃度比が活性化に重要であり、高濃度のglucan存在下では活性化はかえって阻害される。また、Factor Gの活性化には、ある一定の長さ以上のβ-グルカンが要求され、含まれるglucoseが7個以下の短いβ-グルカンは、Factor Gに結合するものの活性化能はない。さらに、この短いβ-グルカンは、長鎖β-グルカンによるFactor Gの活性化を阻害することが明らかになった。以上の結果より、Factor Gの活性化は、1分子のβ-グルカン上で複数のFactor G分子が相互作用することによって惹起されると考えられる。
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