研究課題/領域番号 |
09558095
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
菊池 韶彦 名古屋大学, 医学部, 教授 (40283428)
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研究分担者 |
田中 真人 三菱化学, 生命科学研究所, 主任研究員
紅 朋浩 名古屋大学, 医学部, 助手 (00222513)
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キーワード | DNAトポイソメラーゼ / トポIIα・トポIIβ / アスペルギルス / 難治性の深在性真菌症 / GFP融合たんぱく |
研究概要 |
1.哺乳類のトポIIと相互作用するタンパクの検索 哺乳類のトポIIαは細胞分裂期に一過的な量の増大が見られ、その大半は染色体に局在し、染色体の分裂後速やかに分解され、間期の核には検出されなくなる。一方トポIIβは量的に少ないが核質に一様に存在し、細胞周期を通じての変動はほとんどない。こうした量的な変化と局在化はトポIIと相互作用する種々のタンパクを介するものと考えられる。TWO HYBRID SCREENINGによりトポII結合タンパクの検索を試みたが、期待に沿ったものは得られなかった。しかるに、トポIIアフィニティカラムを作製する目的で、可溶性トポII断片の発現を試みた。得られたいくつかの断片のうち、アミノ酸残基430-500を含むものは特異的にトポIIαと結合しトポIIαの活性を強く阻害することを見出した。この領域には全てのトポIIに共通する配列LILTEGDSAやヌクレオチド結合配列GLGVVGRKYなどのモチーフが見られ、抗がん剤に抵抗性となる変異が多数知られている。しかし、それらの機能については未だ解明されていない。 2.GFPタグによるトポII寿命の検討 マウスやヒトのトポIIを培養細胞で安定に発現できた例は未だ報告されていないが、酵母においてもその全長を安定に発現し、たんぱくを検出するのは極めて困難であった。しかし、トポIIα及びβのC末端側はGFP融合たんぱくとして核への局在と蓄積が見られた。これにN末端部分にあたるアミノ酸180残基を付加するとGFPのシグナルが消失し、この配列中にはトポIIの寿命(おそらく分解)に関する情報が存在すると考え特定を試みている。 3.糸状菌アスペルギルスのII型DNAトポイソメラーゼの解析 アスペルギルス属には、難治性の深在性真菌症を起こすものがあり有効な抗菌剤の開発が望まれている。ここでは、分子生物学の研究材料として広く使われており、遺伝解析の可能なアスペルギルス・ニデュランスを材料にII型DNAトポイソメラーゼに対する種々の阻害剤の作用を検討し、新たな抗菌剤の選択に役立てることを考えている。今回はアスペルギルス・ニデュランスのII型DNAトポイソメラーゼの全長をクローンしその塩基配列を決定した。5'側に1個のイントロンを含み全体的に酵母のII型DNAトポイソメラーゼと高い相同性が見られた。
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