生殖腺の性分化機構の解明と有用資源動物の効率的繁殖への応用

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09558097
• 研究機関: 岡崎国立共同研究機構
• 研究代表者: 諸橋 憲一郎 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (30183114)
• 研究分担者: 工藤 季之 伊藤ハム株式会社, 中央研究所, 副主任研究員 ; 秦野 修 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (40164850) ; 中村 正久 広島大学, 理学部, 教授 (40130025) ; 長濱 嘉孝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (50113428)
• キーワード: 生殖 / 性分化 / 副腎 / Ad4BP

研究概要

生殖腺の形成に不可欠な転写因子として哺乳類より同定されたAd4BPは、本研究における解析からほとんど全ての脊椎動物種に存在することが明かになった。それぞれ哺乳類のAd4BPcDNAをプローブに用いることで、長濱らが魚類(メダカ)より、中村らが両生類(カエル)より、そして工藤らが鳥類(ニワトリ)より単離した。これらの動物種で単離されたAd4BPもやはり哺乳類同様、生殖腺や副腎における発現が確認されている。これらのAd4BPは動物種を越えて高度に保存されていることから、Ad4BPは哺乳類のみならず全ての脊椎動物でその生殖腺と副腎の発生に深く関与することが推測される。一方、本因子をトランスジェニックに発現させることで、生殖腺の機能増強と性の人為的改変をめざしてトランスジェニックマウスの作製準備を進めて来た。これまでのところトランスジェニックマウスの作製に関する技術の習得が完了したところであり、現在Ad4BP遺伝子のプロモーター領域の内、生殖腺や副腎での発現に必要と思われる領域の検索を行っているところである。これらの検索から組織特異的、もしくは性特異的な発現に必要な塩基配列が明かになることが期待される。この様な塩基配列の同定は他の遺伝子産物を性腺や副腎で発現させることを可能にするものであることから、本研究で目指すトランスジェニック動物のためには必要不可欠な転写調節領域であろうと思われる。検索を急いでいるところである。

研究成果

• [文献書誌] S.Leers-Sucheta, et al: "Synergistic Activation of the Human Type II 3β-Hydroxysteroid Dehydrogenase/D^5D^4 Isomerase Promoter by the Transcription Factor Steroidogenic Factor-1/Adrenal 4-Binding Protein and Phorbol Ester." J.Biol.Chem.272. 7960-7967 (1997)
• [文献書誌] Y.Oba, et al: "Inhibitory guanine-nucleotide-binding-regulatory protein a subunits in medaka (Oryzias latipes) oocytes : cDNA cloning and decreased expression of proteins during oocyte maturation. Eur." J.Biol.Chem.249. 846-853 (1997)
• [文献書誌] I.Miura, et al: "Fluorescence replication banding of the frog chromosomes." Cell.Mol.Life sci.53. 73-77 (1997)
• [文献書誌] H.Takemori, et al: "Polyadenylation-mediated translational regulation of maternal P450 (11b) mRNA in frog oocytes." Eur.J.Biochem.250. 197-204 (1997)
• [文献書誌] T.Kudo, et al: "Molecular cloning of chicken FTZ-F1-related orphan receptors." GENE. 197. 261-268 (1997)
• [文献書誌] J.Lund, et al: "Trnascriptional regulation of the bovine CYP17 gene by cAMP." Steroid. 62. 43-45 (1997)