昨年度確立した、アクチンプロモーター+lox71配列+ブラストサイジンS耐性遺伝子というコンストラクトを1コピー持つマウスのラインを用い、条件検討を行った。このラインのオスマウスと正常メスマウスを掛け合わせて受精卵を採取するが、その際、トランスジーンを持つ卵が多く得られるよう、ラインのホモ化も行った。採取した受精卵に、Creの発現ベクターとlox66配列の3'側に大腸菌のβ-galactosidase遺伝子(lacZ)を配置したプラスミド(Targeting plasmid)を同時に前核にマイクロインジェクションし、その卵を仮親に戻して発生させた。このTargeting plasmidがCreによる組換えでアクチンプロモーターの後ろのlox71部位にうまく標的導入されると、lacZ遺伝子が発現するようになるので、胎生13日程度の段階で胎児を取り出しX-gal染色することで挿入を確認し、また、同時に胎盤より胎児DNAも採取し、PCRでDNAレベルの確認も行った。二つのプラスミドの量比などを検討した結果、Creの発現ベクターが4ng/μl、Targeting plasmidが8ng/μlのときに1〜2%の効率で挿入がみられたが、当初目標としていた5%には達せず、また、染色されたものの中には、明らかに全身の細胞で挿入が起こってはいない(モザイクになっている)ものもあり、引き続き、挿入効率を上げる工夫が必要であると考えられた。
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