研究概要 |
本研究では細胞内構造を細胞が生きたまま染色し,変形を加えた際あるいは能動的に収縮・弛緩する際の内部構造の3次元的変化を,張力変化と同時にレーザ顕微鏡下に詳しく観察できる装置の開発を目指し3年間に亙る研究を進めている.中間年度である本年度は引張試験機本体の組立および評価,試料把持部の設計と試作,ならびに対象と考えている血管中膜平滑筋細胞の単離成績の向上を目指した方法の吟味,生きたままの細胞内微細構造を染色する手法の探索を行った. 引張試験機本体の組立と評価に関しては,昨年度基本性能を評価した電動マイクロマニピュレータ等を共焦点正立型レーザ顕微鏡に組み込み,顕微鏡下に細胞をコンピュータ制御で操作できるようにした.また,細胞を酸素加された37℃の保生液中で観察できるような小型の保温槽を開発した.試料把持部に関しては,マイクロピペットで細胞を保持し,そこに加わる力をマイクロマシンプロセスを応用したカンチレバー型ロードセルで計測することとし,現在,カンチレバーの製造工程の探索を進めているところである.また,血管平滑筋の単離に関しては,前年行ったラット胸大動脈をコラゲナーゼならびにエラスターゼで処理し,平滑筋を単離する方法の収率を向上させるべく,処理条件の吟味を進めている.細胞染色に関してはアクチンフィラメントの超生体染色を目指して染色手法の探索を行っている. 次年度以降はこれらの結果をもとに引張試験機を完成し,装置の特性の評価および改善を進める予定である.
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