研究課題/領域番号 |
09558110
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安斉 順一 東北大学, 薬学部, 教授 (40159520)
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研究分担者 |
柏木 良友 東北大学, 薬学部, 助手 (50204384)
鈴木 巌 東北大学, 薬学部, 講師 (30226493)
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キーワード | 固定化酵素 / 触媒活性 / 合成ポリマー / 酵素 / 酵素薄膜 |
研究概要 |
本研究では、我々が既に開発した新しい酵素固定化法の実用化を図ることを目的として、とくに耐久性の改善を第一に検討した。酵素の固定化はアビジンとビオチンを用いる方法によった。本法では、用いる酵素をビオチンで修飾することが必要であるが、その際の修飾条件を種々検討した。さらに、酵素を固定化するときの酵素溶液の濃度、温度、pH、処理時間などを系統的に検討し最適の条件を確率した。しかし、最適条件にて製造した酵素膜でも、酵素としてグルコースオキシダーゼを用いた場合には酵素膜は適度の耐久性を示したが、その他の酵素を用いたときは実用化に充分な耐久性の酵素膜を得るに至らなかった。 酵素膜の耐久性を改善する目的で、酵素膜に合成ポリマーを組み込むことを検討した。このための基礎的検討として、ビオチンで標識したポリアミンとアビジンを薄膜とすることを検討した。ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン(PAA)、およびポリアミドアミンデンドリマ-(PAMAM)を用いたところ、これらポリマーの立体構造の相違に応じて薄膜に固定化されるアビジンの量が異なることが判明した。すなわち、球状のPAMAMではアビジンはほぼ単分子層で固定化され、分枝状のPEIではポリマー鎖中に単分子層の5培程度の多量のアビジンが固定化された。直鎖状のPAAの場合には、PEIとPAAのほぼ中間的な挙動が観察された。これらの合成ポリマーとグルコースオキシダーゼ修飾アビジンを用いて、酵素薄膜を製造して酵素の触媒活性を調べたところ、満足できる触媒活性を示すことが明らかになった。これらの酵素膜では酵素が合成ポリマーの分子鎖により保護されているため耐久性が向上するものと考えられる。他の酵素についても同様の方法で酵素膜を製造してその性能を評価する予定である。
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