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1999 年度 研究成果報告書概要

膜動輸送シミュレータの開発研究―細胞内物質輸送および細胞移動の機構解明への応用―

研究課題

研究課題/領域番号 09558111
研究種目

基盤研究(B)

配分区分補助金
応募区分展開研究
研究分野 医用生体工学・生体材料学
研究機関山形大学

研究代表者

小沢田 正  山形大学, 工学部, 助教授 (10143083)

研究分担者 飯島 良明  山形大学, 医学部, 助手
中田 瑛浩  山形大学, 医学部, 教授 (50009495)
久保田 洋子  山形大学, 医学部, 助教授 (60125763)
研究期間 (年度) 1997 – 1999
キーワード膜動輸送 / シミュレータ / 生体膜 / 大変形解析 / 解析的手法 / 有限要素法 / 多重小胞 / 周辺細胞膜
研究概要

最新の分子細胞生物学的知見を取り入れた膜動輪送機構の力学的解析及びそれに基づいた独自の生体紬胞膜変形解析用有限要素法の開発とこれによる新たなシミュレータシステムの開発の成果について述べる.
1.膜動輸送の力学的解析によるシミュレーション : 解析的手法により,連結小胞及びチャネルの力学的挙動をシミュレートする手法を提示し,以下の新たな知見を得た.
(1)球形膜シェルの開口部を軸に平行に保持して開口展開していくと,わずかな開口半径の変化で大きく形状や張力などのパラメータが変化する位置が数カ所存在する.これは自然曲率を有する膜の,ある種の座屈のような現象と考えられる.
(2)連結小胞の繰り返し部では,円筒状および砂時計状のエネルギー的に安定な形状が見出された.
(3)以上のことから,連結小胞およびこれから派生した円筒状チャネルがエネルギー的に安定な形状の一つとして血管内皮細胞内に生成され,存在し得る可能性が理論的に示された.
(4)面内せん断及び周辺細胞膜の影響を考慮することにより,実際に電子顕微鏡で観察されている結果により近い形状を得ることができた.
(5)2重小胞の場合は,小胞やそれに近い形状が縫持される区間は,開口開始後のごく狭い範囲にあり,この間では開口半径の微小な変化で展開形状も劇的に変動する.また個々のくびれが消失する際,ひずみエネルギにジャンプ状現象の存在が確認された.
2.膜動輪送シミュレータ用有限要素法の開発 : 汎用数理解析ソフトMathematicaを利用し,特に生体膜の大変形解析を夕ーゲットとする独自の有隈要素法の開発を行い,以下の新たな知見を得た.
(1)弾性ポテンシャル関数を用いた大変形解析用有限要素法の定式化を提示し,半球形生体膜シェルの大変形解析を行い,膜に圧力を印加する事により表面積一定条件を満足させ得ることを明らかにした.
(2)表面積一定条件は,変形形状に大きな影響を及ぼす.特に展開における変形形状では開口部付近の要素の伸びに対応し,表面積の増加を抑えるために小胞の形状が大きく変化することを明らかにした.
(3)物性値として,Mooney-Rivlin体型ゴム製赤血球膜解析に用いられる定数を使用した結果,変形過程における膜張カは0.003-0.18[dyn/cm]となり,既知の実験結果である0.03[dyn/cm]を支持する値を得ることができた.

  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] 小沢田,吉田,Skalak,Achimid-Schonbein: "血管内皮細胞における連結小胞及びチャネルの生成メカニズム"日本機械学会論文集(C編). 63-607. 823-830 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Kosawada,Takeno,Skalak,et al.: "Formation of Chained Vesicle on Vascular Endothelial Cell and Its Dynamic Aspects"Proc. of Inter. Conf. of New Frontiers in Biomechanical Engineering. 85-88 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 小沢田: "生体組織・細胞力学"日本機械学会誌. 101-957. 411-412 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Kosawada,Yoshida,Skalak,et al.: "Generation Mechanism of Vascular Endothelial Chained Vesicles and Transendothelial Channel"JSME International Journal,C. 42-3. 796-803 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Kosawada,Skalak,Schmid-Shonbein: "Chained Vesicles in Vascular Endothelial Cells"ASME J. of Biomechanical Engineering. 121-5. 472-479 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 小沢田: "膜動シミュレータの開発研究-ガン細胞転移発生機序解明への応用"医科学応用研究財団研究報告1998. 58-67 (2000)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Kasawada, T., Yoshida, O., Skalak, R., Schmid-Schoenbein, G.W.: "Generation Mechanism of Vascular Endothelial Chained Vesicles and Transendothelial Channel"Transactions of the JSME, C (in Japanese). 63-607. 823-830 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kosawada T., Takeno T., Skalak R., Schmid-Schonbein G.W.: "Formation of Chained Vesicle on Vascular Endothelial Cell and Its Dynamic Aspects"Proceedings of the International Conference on New Frontiers in Biomechanical Engineering, Tokyo. 85-88 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kosawada T.: "Biological Tissue and Cell Mechanics"Journal of the JSME. 101-No.957. 411-412 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kosawada, T., Yoshida, O., Skalak, R., Schmid-Schoenbein, G.W.: "Generation Mechanism of Vascular Endothelial Chained Vesicles and Transendothelial Channel"JSME International Journal, Series C. 42,No.3. 796-803 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kosawada, T., Skalak, R., Schmid-Schoenbein, G.W.: "Chained Vesicles in Vascular Endothelial Cells"ASME Journal of Biomechanical Engineering. 121-5. 472-479 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kosawada T.: "Development of Simulator for Vesicular Transport in Cells - Application to Study of Mechanism of Metastasis of Cancer Cells"Research Papers of the Suzuken Memorial Foundation 1998 (in Japanese). 17. 58-67 (2000)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2001-10-23  

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