1 肝癌モデル動物を使っての至適なシーケンスの検討 使用した超音波造影剤は、アルブネックス(米国MBI社)、FS069(同MBI社)、京都大学医療工学研究センターが開発したOUC82755である。 正常肝モデルとして、ウサギ・イヌを用いた。肝細胞癌モデルとして、肝癌を自然発症したウッドチャックを、転移性肝癌モデルとしてVX2腫瘍を肝に移植したウサギを用いた。 微小気泡造影剤を、持続的に静脈内投与し血中濃度が一定に達した後、超音波スキャンを始める。間歇送信の送信休止時間を0秒(連続モード)から、順次増加させて行き、肝の腫瘍部と非腫瘍部の信号の変化を検討した。動脈で栄養される癌部は短い休止時間で、門脈血優位の非腫瘍部はそれより長い休止時間で強い信号を発した。 送信停止後再開直後の1フレーム目の画像は、泡の崩壊による生じる2次高調波を多く含む信号により構成されていた。 以上のデータから、腫瘍血流を特異的に表示できる適性条件とくに、間歇送信の至適シーケンスを決定した。 2 造影剤に合わせた音圧や超音波パルス波の検討・開発 アルブネックスやFS069などのような脆弱な微小気泡は、肝臓内を流れる際に、伝搬する超音波を受け容易に崩壊消失する。逆に、比較的硬いシェルを持つOUC82755は、低い音圧ではoscillationも惹起されず、2次高調波を出さないために気泡があっても映像化できない。脆弱な気泡であるFS069と硬いシェルを持つOUCを投与した場合の、体表から当てる至適音圧を検討した。その結果、FS069では0.5Mpa以下の音圧が、OUCでは1.0Mpa以上の音圧が必要であり、気泡の種類による超音波送信音圧の調節が必要であることが判明した。 以上のデータをもとに、気泡の違いに合わせたパルス波超音波の自動変換システムを開発した。
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