研究分担者 |
高島 征助 岡山大学, 地域共同研究センター, 助教授 (10231391)
大槻 主税 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究所, 助教授 (00243048)
尾坂 明義 岡山大学, 工学部, 教授 (20033409)
都留 寛治 岡山大学, 工学部, 助手 (50314654)
太田 恵三 オオタ株式会社, 常務取締役・研究開発担当
|
研究概要 |
金属チタン試片を,5mMのTaCl_5を含む過酸化水素水溶液中で60℃で24時間保持し、最適処理条件を決定した。さらに5mMPbCl_2を含む過酸化水素水溶液による処理も行い、表面の水和チタニア層の構造制御を行った。試片の表面構造をフーリエ変換反射分光法,X線回折,X線光電子分光法及び走査型電子顕微鏡観察により調べた。 5mMのTaCl_5を含む過酸化水素水溶液処理では、チタン金属表面に水和チタニアゲル層が形成し、ゲル中にタンタル酸ゲルの痕跡が確認された。表面粗さは0.3μm(Ra値)以下の範囲では化学処理前後では変化していないことがわかった。一方、PbCl_2を含む過酸化水素水溶液処理では、金属チタン表面に炭酸鉛・酸化鉛が析出していることがわかった。これらの表面処理した試片をヒト体液とほぼ等しい無機イオン濃度,液温及びpHを有する擬似体液に種々の期間浸漬し,表面構造変化を薄膜X線回折,FT-IR反射分光分析,SEM観察により調べ、さらに擬似体液のイオン濃度変化を高周波誘導プラズマ(ICP)発光分光法により測定した結果、PbCl_2を含む過酸化水素水溶液処理では極めて短期間に擬似体液中でアパタイトを形成することに成功した。 5mMのTaCl_5を含む過酸化水素水溶液処理したいくつかの試片について,ラット骨芽細胞様細胞を用いた細胞培養実験を行い,試片表面が骨芽細胞に与える影響を調べた。また、金属チタン及び実用性の高いチタン合金を素材として選択し、家兎の脛骨に試料を埋入しその結合強度をPush outテストで評価した結果、あきらかに化学処理による骨結合強度の増大が確認された。以上の結果を総括し,金属チタンへの生体活性に必要とされる表面構造が明らかになり、金属表面処理条件が確立した。
|