研究概要 |
本研究では,日常生活を送りながら生理情報を簡便かつ非侵襲に精度よく検出する方法として口腔内からの情報を直接取得するマルチセンシングシステムを開発した.また,得られた生理情報をデータ処理し,健康・体調を把握できる生理パラメータの抽出とその時間推移を蓄積・表示できる解析システムすなわち在宅健康・体調モニタリングシステムの構築をはかった.口腔内からは,体温,呼吸,脈波(脈拍),血流,酸素飽和度などの生理情報と唾液中のpH,電解質(イオン)などの化学量が測定可能である.マウスピース型マルチセンサに組み込まれたセンシング素子として、光電脈波測定用の光センサにLEDとホトダイオードの組み合わせ,温度(体温,呼吸)センサにサーミスタ,pHセンサに酸化イリジウム電極を用い,口蓋動脈近傍,上顎唾液腺近傍にそれぞれが密着するように歯科用レジンで作製されたマウスピースに埋め込まれている.2波長脈波(パルスオキシメータ)センサからの光電脈波信号をフィルタリングにより心拍変動成分,呼吸変動成分に分離する.いずれのセンサも口唇部からリ-ド線を介して外部電源,処理回路に接続される有線式であるが,口腔外でPFM-FM変調テレメータにより生理信号を無線伝送している.小型・軽量のテレメータ化をはかったことにより,睡眠時、作業時、運動時の生理情報の取得が無拘束で連続的に可能となり、パソコンへのデータ転送・蓄積,ネットワークへのデータ転送を可能にした.得られた生理情報の経時変化を連続計測し,トレンド解析,リズム解析,イベント解析を行い,ストレス・疲労感・体調変化に関連する自律神経調節系の影響を把握することができることを明らかにしている.
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