研究概要 |
本研究の最終目標は,従来一般業用に開発,設計されてきた蛍光酸素センサーを海洋観測に利用可能なものに改良し,実際に海洋でのデータを取ることである. このため,本年度は主に二つの検討を行ってきた. 第一に,海洋観測,とりわけ外洋での酸素の鉛直分布を知るためには酸素センサー自体が耐圧構造をもち,応答も十分な速さを持つ必要がある. このためまずセンサーチップ部の材料と形状の改良を行い,応答を速くした. この結果,従来数分程度だった応答速度が30秒程まで縮まり,鉛直的に連続的なプロファイルをとることが可能になった. 第二に, 深海にまで使うために,耐圧容器を設計して試作品を作った. この試作品を使って陸上で耐圧試験を繰り返して4000mまでの耐圧性を確認した後,東京大学海洋研究所白鳳丸航海で実際に1000mまで降ろして試験を行い,その耐圧性とデータの妥当性を確認した.以上の結果から,深海観測にも使用可能なメカニカルな条件がほぼそろった. 第二に,こうして改良した酸素センサーの出力データが海洋観測に利用可能だけの精度を持つ必要がある. そこで,同型器を用いて標準的酸素測定法とされているウインクラ-法との比較検討を行った. 検討は現在も続行中なので,最終的結論は出ていないが,予備的な段階では,温度更正やデータの出力法に多少問題があり,現在この点での改良を加えつつある. ただし,メカニカルには観測機器利用の上での大きな困難点をほぼ克服しているので,本来の目的遂行のための根本的障害とはならない見通しである.
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