研究課題/領域番号 |
09559009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉川 正明 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (50026572)
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研究分担者 |
高橋 正克 長崎大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (90112383)
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 学習促進 / 抗健忘 / オピオイド / 補体C3a / nociceptin / 鎮痛作用 / enterostatin / PAMP |
研究概要 |
高齢化社会を迎え、老人性疾果の新しい予防薬ないしは治療薬の登場が渇望されている。我々は以下3種類のペプチドが抗健忘または学習促進作用を有することを新たに見い出した。 従来、補体は免疫系物質としてのみ理解されてきたが、カゼイン消化物から得られた補体C3aアゴニストである。casoxion C、および補体C3aそのものがマウスへの脳室内投与の際にscopolamine投与または脳虚血処置によって誘発された健忘に対して改善効果を示した。これらは経口投与では無効であった。そこでコメアルブミンから得られたC3aアゴニストであるoryzatensinのC末端5残基に相当するYPLPRをリード物質として、経口投与で抗健忘作用を示し得るペプチドとしてWPLPRを設計した。 従来、5-オピオイドは学習阻害作用を有するとされてきたが、小麦グルテンの酵素消化物から得られたδ-オピオイドであるgluten exolphin A(GYYPT)はマウスに対する経口投与により学習促進作用を示した。また、gluten exorphin AのGlyをD-Alaに置換することによって約60倍強いδ-オピオイドが得られた。これらのペプチドは鎮痛作用を示さない低用量域で学習促進作用を示した。 nociceptinは脳から単離された痛覚増強ペプチドである。以前にN末端からC末端への方向性を逆にして合成した各種オピオイドペプチドのretro体のメチルエステルがオピオイドアンタゴニスト活性を示すことを見出していたが、同様にretro-nociceptinのメチルエステルを合成したところ、モルモット回腸でのnociceptinアンタゴニスト活性に加えて、脳室内投与により鎮痛作用および学習促進作用を示した。その際モルヒネのような耐性形成は見られなかった。モルヒネは学習能を阻害するが、nociceptinアンタゴニストはモルヒネが持つこのような欠点を持たない点で理想的な鎮痛物質である。 その他、内因性ペプチドであるnterostatin(VPDPR)およびproadrenomedullin N-terminal 20peptie(PAMP)が脳室内投与の際にそれぞれ、学習促進および抗健忘作用を示すことを新たに見い出した。
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