研究課題/領域番号 |
09559010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 眞 京都大学, 放射線同位元素総合センター, 助手 (30144398)
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研究分担者 |
小野 浩 セイコー・イージアンドジー株式会社, 営業部・営業推進グループ, 主任研究員
前多 信博 福井工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (40124028)
戸崎 充男 京都大学, 放射線同位元素総合センター, 助手 (70207570)
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キーワード | 放射光 / 高エネルギーX線 / 2次元検出器 / ガス検出器 / ドリフト法 |
研究概要 |
本年度は、本研究で製作し組上げてきたドリフト方式大面積位置検出器(有感体積110x 100x 24mm^3)の6keVX線、8MeV陽子線に対するエネルギー及び時間応答を詳細に調査した。8MeV陽子の本検出器中でのエネルギー損失は約20-40keVであり、この程度のエネルギーX線が検出された場合の応答をほぼ反映している。本検出器はドリフト距離55mmで有感厚み24mmの検出器2台が一体化されている。この2台の検出器では24mm厚みを一方では12mm厚2枚他方では6mm厚4枚に分割してあるため、全体として計6台の検出器として作動する。2枚の12mm厚層、1枚の6mm厚層を中心にデータを集積した。エネルギー応答に対するドリフト領域電界強度依存性から、「良好な平行電位が形成されていて、ドリフト過程における初期電子の損失は殆どない」というドリフト検出器の基本性能が従来に無い独自の構造を持つ本検出器においても達成されていることを確認した。高電圧電極周辺の絶縁特性に関しては改良点があることが判った。時間応答を調査するため高速時間信号の波形観測を詳しく行った結果、直径が10μmのアノード芯線が最良の性能を示すことが判った。アノード芯線直径10μmの場合、電子増幅は制限比例領域での特異的放電モードに達し得る。本検出器を達成するためにはこの特異的放電モードの動作機構に対する深い理解及びこのモードの実用性の検証が大きな役割を果たすと考えられたため、特性LX線(TbLγ線)の高精度測定を実行した(我々が開発した1次元位置検出器を用いた)。希土類元素の電子構造に関する大きな成果が得られたが、実験技術面に於いても実際の実験条件の中で、この特異的放電モード利用は高性能を発揮し十分実用性があることを実証出来た。本研究で製作したドリフト方式検出器のドリフト距離依存性から、0.2mm以下の位置分解能が得られると確信できたため、本検出器の実現が十分可能であると結論された。
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