研究課題/領域番号 |
09559016
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研究機関 | 県立新潟女子短期大学 |
研究代表者 |
佐々木 博昭 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (20123218)
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研究分担者 |
笠原 勝次 新潟県工業技術総合研究所, 研究員
呑海 信雄 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (90237181)
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キーワード | 溶剤紡糸レーヨン / フィブリル化 / 減量加工 / 膨潤 / クリンプ / 消費性能 |
研究概要 |
溶剤紡糸レーヨン(商標テンセル等)は、水に濡れるとフィブリル化を起こす。フィブリル化防止のため、セルロース溶剤である酒石酸鉄(III)ナトリウム錯体溶液で処理する新規な方法を開発した。これまでこの方法により、テンセル糸を処理した時の構造変化や水による膨潤挙動を検討してきた。さらに錯体組成や処理条件が、減量率や糸の強伸度に及ぼす影響を調べ、最適処理条件を明らかにした。本年度は、溶剤で処理することにより染色速度が著しく増加する原因を明らかにするとともに、糸の伸長特性および最終的な消費性能について検討した。水で膨潤した繊維を塩化鉄(III)水溶液で煮沸処理を行い、水酸化鉄コロイドを生成した繊維の断面をSEMにより観察した。この結果、溶剤処理した繊維は繊維内部にまでコロイドが生成し、水による膨潤時に表面のクラックから塩化鉄が浸透することがわかり、このため染色速度が速くなる原因を特定することができた。次に、溶剤処理した糸をSEMにより観察したところ、セルロース系繊維ではこれまでみられなかったクリンプが生じていることがわかった。これは極めて重要な知見であり、糸の弾性回復率を調べた結果、溶剤処理の優位性が確認された。さらに、実際に処理した糸から編地を編み立て、保温性、通気性、透湿性、伸長回復および着用時の温湿度などの消費性能を調べた。この結果、溶剤処理した場合、透湿性や伸長回復性が優れていることがわかった。
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