研究課題
基盤研究(B)
MRIの基礎技術開発としてサファイア製円筒型ヘリウム3容器を開発し、その容器の中に、ルビジウムと窒素ガスをわずかに入れ、その中にヘリウム3ガスを封入し、ヘリウム3原子核スピンを偏極した。サファイア容器は、単結晶で作られており、円筒容器の円板部は、ルビジウム原子偏極用レーザー光照射用窓になっている。単結晶のc軸は、円板面に平行にしている。サファイア結晶は、複屈折性があり、c軸方向に振動する波とそれに垂直な方向に振動する波では、屈折率が異なるため、サファイア透過後にそれら二つの波の間で位相を生じる。ルビジウム原子を偏極するため、円偏光レーザーが照射されるが、複屈折性の為に円偏光がくずれる。この円偏光のくずれを補償するためにレーザー窓と同じサファイア板を置き、そのc軸を窓のc軸と垂直にし、窓通過時の位相差を補償した。ルビジウム原子偏極は、ヘリウム原子との衝突時の超微細相互作用により、ヘリウム3原子核スピン偏極に移行される。ヘリウム3原子核偏極をNMRによって観測した。また、レーザー照射を止め、偏極緩和を観測した。緩和時間は、40時間であった。ガラス容器の場合、この値を得るには、10個の容器に対して、1個得られるのが普通であり、サファイア容器は、期待通りの性能を持っていることが判明した。これは、世界で初めての試みである。また、補償板を回転させ、偏極を観測し、予想通り、円偏極のくずれが起き、その結果、ヘリウム3原子核偏極の大きさが変わることが判明した。この結果は、学会、研究会等で発表し、出版準備を進めている。
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