本年度はまず、未整理の西田の原稿やメモ類の調査・整理を行うとともに、これまでの西田哲学研究の中で蓄積されてきた諸成果の収集を行うことに努めた。設備備品費および旅費は、当初の計画に沿って、この目的のために使用された。 石川県の西田記念館や学習院大学に赴き、詳しい文献調査と資料の収集にあたるとともに、京都大学所蔵資料の整理も行った。また、必要な文献(欧米における諸研究を含めて)の収集・整備も行うことができた。 以上の基礎作業を踏まえて、西田哲学の成立の過程、とくにその<場所>の思想の成立の過程を発展史的に明らかにすることを試みた。その際、西田自身の思想の発展だけでなく、西田が当時置かれていた思想状況や当時の西田哲学に対する批判、さらには新カント派や現象学など同時代のヨーロッパの思想との対決という面をも視野に入れ、全体的なパースペクティヴのなかで西田の思想の発展、そして<場所>の思想の成立プロセスを考察することを試みた。 以上の研究を行うにあたって、近年多くの成果を生みだしている諸外国(アメリカ、ベルギー、メキシコ等)の研究者とも、京都で開催されたシンポジウムや書簡の交換を通して積極的な対話を行い、研究の進展を図った。
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