研究概要 |
インド理論学派(ニヤーヤ)の思想展開を,9世紀末のテキスト『ニヤーヤ・マンジャリー』中の知識論(プラマーナ)関係の箇所に対する綿密な訳注研究に基づいて解明するために,平成9年度は同テキストのデータベース作成,認識手段の定義,知覚論,文意論の箇所の訳注作業を中心に行った。その結果、以下の研究成果を得た。 1.『ニヤーヤ・マンジャリー』のテキスト・データベース(未校正)。 2.著者ジャヤンタ・バッタの著作に関する問題で新知見を得た。これは平成10年9月の日本印度学仏教学会第49回学術大会に発表する予定である。(平成9年度同学会第48回大会に発表予定だったが参加者多数で却下された。) 3.『ニヤーヤ・マンジャリー』の作品構成の特徴と,ニヤーヤ学者としてのジャヤンタの特異性、および両者の関係について考察した。(平成10年度に発表する予定) 4.文意論関係の箇所(Mysore版,Vol.2,pp。69-142)の訳注作業。一部を除き,翻訳は一応完了した。ただし訳注作業はさらに継続する必要がある。(この箇所の議論構成に関する論文を,平成10年度に『インド哲学仏教学研究』6に発表する予定。)
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