『タットヴァ・チンターマニ・ラハスヤ』「論理的必然関係章」をほぼ等しい量に3分割し、その第1部分(「獅子」と呼ばれる人物による論理的必然関係の定義を扱った部分)のテキスト校訂、英訳、図式を用いての分析を終えた。この成果は、2本の学術論文として完成され、1本は1997年8月に出版され、他の1本は現在初稿を終えた段階である。 本研究の基礎資料となる上記のサンスクリットテキストをデータベース化するための入力作業を終え、校正作業に入った。来年度中には校正作業を終え、第2部分(「虎」と呼ばれる人物による定義)以降の研究に直接利用したい。また、このテキストが注として付けられた(つまり本文に相当する)ガンゲ-シャの『タットヴァ・チンターマニ』のテキストデータベース化をするために、入力作業を継続している。 1997年9月には、本研究のレビューをオックスフォード大学東洋学研究所講師ジェイムス・ベンソン氏にしてもらうため、オックスフォードに13日間滞在した。彼の専門はパ-ニニ文法学であるが、新論理学の術語も彼の扱うテキストにしばしば現れるので、新論理学に対する造詣も深い。彼の報告書は既に受け取っており、本研究は、翻訳・解釈の正確さ及び的確さ、さらに、図式を用いた思考内容の構造分析に関連して高い評価を受けた。オックスフォードでの滞在は、本研究の細部をベンソン氏に説明することを可能にしただけではなく、新論理学とパ-ニニ文法学との術語の規定をめぐっての彼との有益な議論も可能にした。
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