講式は十世紀後半に成立した日本の独特な仏教儀式の一つで、日本語で語られたという点に於いて、他の儀式と異なっているし、音楽(管弦や声明)、舞踊、演劇、絵画等の要素を含む一つの独特な総合的文化体系であるといってよいものである。この点で、講式は仏教のみならず、日本の芸能や文化を研究する為の貴重な資料である。 約十年間にわたって集めてきた資料のデータを基に、今回のプロジェクトでは、講式の写本、古刊本や近代以降の翻刻のデータをオンライン目録で収録することを目指した。これによって、国内外の研究者にとって従来研究対象になりにくかった資料が、比較的簡単にアクセスできるようになった。これらの文献データの数は1000点以上に上り、新井弘順・福島和夫両氏(上野学園大学日本音楽資料室)が提案した分類方法では、約320種類の講式作品を分類したことになる。文献データの中で、講式の成立・展開・影響上特に重要と思われる作品は、講式全文のテキストファイルとリンクし、これによって初めて活字に起こしたものも少なくない。データベースはSGML-言語のアプリケーションとしてHTML 3.2をベースにして(後にHTML4.0に改めた)開発されたので、利用者が自分の都合で改造し拡大することもできる(例えば写本の画像ファイルを加える等など)。講式の場合、前近代のテキストが殆どなので、JISコードに入っていない所謂外字が特殊なソフトを使わずに表示できる為に、(一)外字に当たる漢音を仮名で表記し、(二)外字に該当する諸橋大漢和辞典の漢字番号を付けて、(三)外字を単純なIMGファイル(GIFファイル)として製作し、それをテキストファイルにリンクした。 尚、データベースのアドレスは下記のとおりである。 http://faculty.web.waseda.ac.jp/guelberg/koshiki/datenb-j.htm
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