3年間にわたる本研究の研究計画は予定通りほぼ順調に進捗した。本研究費による成果のうち、最大の成果の一つである所の、新たに発見した真福寺本のマイクロフィルムを焼き付け、テキストデータに変換して読み下し、訳注をつけて出版する準備を進めている。 その成果の上に立って、本研究で得た他の敦煌本及び中国・日本・朝鮮に伝播した諸本の資料価値を確かめる作業を今後継続する予定である。 一方、従来の『六祖壇経』に関する研究成果を網羅し、それらを批判しつつとりまとめることに意を用いた。これらのデータも同様に出版する予定である。 以上によって本研究による研究成果は完結すると考えられるが、更に『六祖壇経』の初期禅宗史に果たす思想史的意義を再確認しながら、これまで諸説の行われていた初期禅宗史に対する新たな視座を構築することに努めたい。 なお、本研究費によって購入したマイクロフィルム撮影用器材は大学に設置し、禅宗関係資料をはじめとする多方面の資料収集に役立てたい。
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