最終年度である平成11年度においては、研究成果のとりまとめと論文の執筆、発表に重点がおかれた。また、米国プリンストン大学での共同研究、イタリア、ルイス大学における国際研究集会出席などを通じて、今後の国際共同研究の基盤整備を試みた。また、プリンストン大学及びダートマス大学において情報倫理学に関する招待講演を行った。 執筆された論文「インターネット時代の情報倫理学」は、昨年3月にFirst International Workshop for Foundations of Information Ethicsにおいて発表された論文"Information Ethics in the Age of the Internet:An Overview"に加筆修正したもので、電子ネットワークが世界中にはりめぐらされた際に発生する倫理問題を概観するとともに、たんなる問題解決型のものではない情報倫理学の構築の必要性について論じたものである。同論文は越智貢、土屋俊とともに共同編集した『情報倫理学ー電子ネットワーク時代のエチカー』(ナカニシヤ出版、近刊)に収録される。同書は、日本における最初の情報倫理学に関する専門書である。これにより情報倫理学の研究の基礎が確立されたといってよい。
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