研究概要 |
1.田辺元あての書簡、総数約3.500通の複写・整理を完了し,内容の精読にはいっている。すでに終了している西田幾多郎,田辺自身・波多野精一らの未発表書簡の検討と合わせ,本研究の主目的たる「京都学派」の人間関係の解明は,次第に精緻となるであろう。 2.野上彌生子から田辺元あて書簡,田辺から野上あて書簡,合計約400通につき,前者を保管する本研究実行者と,後者を保管する岩波書店編集部(担当・宇田健)との間において相互の交換を行い,かつ,宇田と強力して,内容の対比・照合を行った。晩年の(田辺・野上)両者の稀有ともいうべき人間的・思想的交流に関し,数々の知見を薄得としつつある。 3.『下村寅太郎著作集』最終巻の責任編集を担当し,数百枚に及ぶ新発見未定稿を校訂のうえ収録,既発表作品に関しても,十分な資料的厳正を期した。本巻は下村自身による自叙伝文章の集大成であり,同時に「京都学派」に関する最も精密にして権威ある一等資料となり得よう。*を加え、3の趣旨を補完した。 4.同上の巻の附録として、年譜と著作目録から成る「下村寅太郎の百年」*
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