研究課題/領域番号 |
09610048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 玉川学園女子短期大学 |
研究代表者 |
小澤 富夫 玉川学園女子短期大学, 教養科, 教授 (70149318)
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研究分担者 |
廣田 繁 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40052758)
石毛 忠 防衛大学, 人文科学研究室, 教授
新川 哲雄 学習院大学, 文学部, 教授 (90080374)
高山 有紀 新島学園女子短期大学, 国際文化学科, 講師 (40279568)
市川 浩史 群馬県立女子大学, 文学部, 助教授 (90203091)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 『吾妻鏡』 / 頼朝と八幡信仰 / 〓飯の儀 / 重時家訓 / 幕府と陰陽道 / 鶴岡八幡宮 / 得宗専制体制 / 武士の隠世観 |
研究概要 |
平成9・10年度、課題に対する基礎研究を終え、最終年度は研究報告としての論文作成を目標に、研究分担者は各自の主題に関する報告を行い、平成11年7月「執筆要領」を確認したうえで、論文の執筆に4ケ月を要した。研究課題である「『吾妻鏡』の思想史的考察」に関して、研究視点を思想史に設定し、各分担者は政治思想・歴史思想・宗教思想・倫理思想の分野で課題に基づいた研究を行なったが、その研究の成果は単なる研究経過の要約や概要でなく、研究成果としての「論文」であることを確認して最終年度を迎えた。これらの研究成果から、『吾妻鏡』の思想的考察の意義を指摘すれば次の通りである。 (1)宗教思想分野:『吾妻鏡』に記載されたこの分野に関する陰陽道・天文占星・加持祈祷という儀礼的行事、及び鶴岡八幡宮信仰の定例化の過程が解明され、従来余り重視されていなかった幕府と寺院社会の関連性、陰陽道などの宗教儀礼が私的な祭りと同時に幕府の公的行事として行われてきた思想的意義が新たに提起された。また、鎌倉武士の宗教生活を「遁世」の観点から考察することにより、『吾妻鏡』の記載が宗教的営為よりも世俗的価値を優越させていることも明らかになった。 (2)歴史・政治思想分野:この分野では頼朝の八幡信仰と政道論の関連から、その変革的政治の意識が執権政治に展開されること、及び時頼による得宗専制体制の確立過程が、新に「歳首の儀」「儀行の儀」の記載から解明された。 (3)倫理思想分野:武士の倫理思想に関しては、和辻氏の「御恩の奉公」という定義を再検討すべきあり、『吾妻鏡』の記載から、執権時代における御家人の倫理観を考察し、その変質が明らかになった。
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