本研究は沖縄本島の旧盆前後に青年たちによって行われるエイサ-と呼ばれる太鼓踊りをテーマとする。他地域の民俗芸能が多く伝統の継承を目的として芸能を演じているのに対してエイサ-は伝統のなかに常に新しい工夫を加えることが多く、その担い手である青年たちの意識がエイサ-の様々な局面に現れることが顕著である。 こうしたエイサ-の動向を全島的に捉えるために、本年度はまず悉皆調査の調査用紙を作成することから始めた。調査項目を設定するにあたっては、エイサ-の基盤となる青年会組織の概要とそのなかでのエイサ-への参加状況、練習の組織と踊る機会及びそれに伴う収入、また芸態の変遷と現状をおもな視点とした。 本年度は沖縄本島のうち名護市、恩納村、読谷村、石川市、具志川市、勝連町、沖縄市の調査を7月〜8月の二か月間にわたって実施した。そのなかでもっとも変化の激しい沖縄市の調査からは街頭で青年会どうしが踊り比べをするオ-ラセ-の実態を発見し、またもっとも伝統的なエイサ-を継承する恩納村の調査からは別れエイサ-、遊びエイサ-などの概念を収集することができた。 平成10年度、11年度は調査を他地域に拡大する予定である。
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