本研究は沖縄本島で旧盆前後に青年たちによって行われるエイサーと呼ばれる太鼓踊りをテーマとし、伝統の墨守ではなく絶えざる工夫による変化を求める民俗芸能の動向を動態的に追求することを目的としている。 そのために現在という時点を悉皆調査によって記録する必要があり、初年度である平成9年度から始まった調査を今年度も引き続き行い、約7割の調査を完了した。調査の一部は昨年3月に沖縄市から刊行された『エイサー360度』に原稿化した。 調査の対象となるのは青年会のエイサーであり、エイサーの基盤となる青年会はもちろんのこと、青年会の基礎となる自治会または行政区との関わりを見極めていかなければならない。そこで本年度は上記の調査に加えて市町村から行政区・自治会の資料を収集し、各青年会のエイサーの概要を列記する「字誌」のベースとなる行政区・青年会の一覧を作成した。 青年会の活動は極めて把握しにくく、沖縄県青年団協議会のなどの協力を得て青年会の実態の把握を来年度も継続的に進めていくとともに、悉皆調査を完結し、報告書の刊行を来年度に行う予定である。
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