• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

現代日本画の制作技法・材料に起因する破損及びその保存修復方法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09610066
研究種目

基盤研究(C)

研究機関(財)元興寺文化財研究所

研究代表者

山内 章  (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (90174573)

研究分担者 高橋 平明  (財)元興寺文化財研究所, 人文考古学研究室, 研究員 (60261210)
菅井 裕子  (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (20250350)
雨森 久晃  (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (70250347)
キーワード現代日本画 / 岩絵具 / 厚塗り彩色 / メディウム / 明礬どうさ / 簡易パネル / 情報公開 / 保存修復
研究概要

1950年前後から70年代にかけての日本画作品115点について保存状況と制作技法・材料を調査した。確認した破損・劣化事例は次に記すような制作技法・材料に起因すると思われるものが多く、全体として現代日本画の保存に関する問題点が見えてきた。
【1.主に制作技法に起因すると考えられる破損】a.岩絵具主体の厚塗り彩色に起因する絵具層の剥離・剥落。b.箔下地に塗り重ねた絵具層の剥離・剥落。c.黄土下地に塗り重ねた絵具層の剥離・剥落。d.朱の絵具層の剥離・剥落。
【2.支持体ならびに基底材に起因する破損】a.簡易パネル(支持体)の歪み・変形がもたらす本紙のストレス。b.簡易パネル(ベニヤ板)に起因する本紙の汚損。c.屏風仕立てで制作された厚塗り彩色画の破損。
【3.朱に彩画材料に起因すると考えられる破損・劣化】a.メディウムに起因する絵具層のひきつれ、剥離・剥落。b.盛り上げ下地の亀裂、剥離・剥落。
【4.作品の保管・取り扱いに起因する破損】a.パネルから本紙を剥がし、巻いて保管されたことによる彩画面の折れや剥離・剥落。b.かびの繁殖。
彩画材料に関する研究では次の事項を確認した。1.岩絵具(天然岩絵具・新岩絵具・合成岩絵具)は日本画の新しい試みに対応して年々新製品が販売されてきたが、耐候性など保存に関する情報公開が不足している。2.膠については絵画保存の立場からの研究が不足している。現在、彩画材料及び修復材料としての膠の研究開発が動き始めた。3.絵画保存の立場から見た明礬どうさの長所・欠点の見直しと欠点の克服が絵画制作及び修復に携わる者の課題である。
厚塗り彩色の修復は、次年度研究計画の準備として次ぎの処置方法の有効性を検討した。「彩画面または本紙裏面から接着剤を浸透させ(強制吸引方式も検討)、電熱コテを用いるか、または重しを乗せて、剥離した絵具層を基底材に接着する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 山内 章: "現代日本画の保存に関する諸問題" 元興寺文化財研究所創立三十周年記念誌. 161-165 (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi