研究課題/領域番号 |
09610066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美術史
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
山内 章 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (90174573)
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研究分担者 |
高橋 平明 (財)元興寺文化財研究所, 人文考古学研究室, 研究員 (60261210)
菅井 裕子 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (20250350)
雨森 久晃 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (70250347)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 現代日本画 / 絵具層 / 剥離 / 厚塗り彩色 / 制作技法 / かび / 変色・褪色 / 剥落止め処置 |
研究概要 |
日本画作品162点を対象として、保存状況(破損・劣化)と制作技法に関する調査を行ない次の所見を得た。 a 最も多い破損状況は絵具層の剥離・剥落で64点の作品に認められた。その原因のほとんどは絵具の過度な塗り重ねに起因するもので、箔下地に無理に絵具を塗り重ねたことや本紙の隅皺が原因と思われる剥離も認められた。 b 本紙が裂けて破れた作品が見られた。絵具の厚塗りと過乾燥状態での制作が原因と考えられる。 c 細粒の岩絵具を塗り重ねた作品で絵具の固着が弱く粉状化しているものがあり、膠の浸透性と粘度及び濃度と絵具の比重との兼ね合いで制作後まもなくの作品であっても粉状剥落を生じる可能性があることを認めた。 d 「かび」と思われる異物の付着または褐色の斑点状のシミ(Foxing)が見られた。岩絵具を塗り重ねた作品の絵具が盛り上がった箇所(彩色表面に膠が溜まっている)にかびらしき異物の付着が、また絹本彩色画にFoxingが認められた。Foxingは水銀朱や岩緑青の彩色箇所を避けて繁殖しておりこれらの顔料に抗菌性があるのかもしれない。 e どうさが原因と推測できる銀箔の焼けと、朱下地に新岩絵具を塗り重ねた作品に変色を認めた。 f 朱下地彩色の色変化については、高温高湿度下において、朱下地を用いた新岩絵具のテストパネルの変色を確認しており、硫化物の生成も懸念される。以上のように、日本画の破損・劣化は制作技法や材料に起因することが多く、現代日本画の特徴的な技法の一つである厚塗り彩色が保存面で多くの問題を含み、また厚塗りゆえに修復が困難な状況にあることを確認した。本研究ではこれを効率的に行い得る方法を開発し、実用化するための剥落止め修復機を試作した。
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