本年度は、報酬の不確実性に対する人間の認知の仕方が人間の選択行動に及ぼす効果を分析した。具体的には、不確実性に対する認知の仕方を分析するために欧米で開発された質問紙の日本語版を2種類開発し、それらを日本人の大学生、中学生、および、老人に適用するための予備調査を行った。調査の具体的な内容は、「今すぐもらえる10万円と10年後にもらえる20万円のどちらを選びますか」というような形式で、選択肢の呈示方法によって2つの種類が開発された。これらの質問紙の目的は、各報酬量を系統的に操作することにより将来の不確実な選択肢の価値の現時点における価値(いわゆる時間割引)を推定することであった。調査の結果、(1)この質問紙によって、報酬の不確実性に対する人間の認知の仕方を調査することが可能であること、および、(2)被験者の年齢によって報酬の不確実性に対する人間の認知の仕方が異なることが示された。そこで今後は、本年度に行われた不確実状況下での選択行動に関する実験的研究能勢以下と、前年度に行われた実験的研究との関係を系統的に分析することが予定されている。
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