1、日本におけるスクールカウンセラー(以下SC)の活動の内容に関する検討 派遣されているSCに対して、質問紙調査を行い、29名中23人から回答があった。その結果、教師との連携については、小学校、中学校、高校となるにつれ、養護教諭との連携が増加し、逆に担任との連携が稀薄化することが示唆された。また、不登校児・生への対応に追われ、予防的な観点からのアプローチができない現状にあることが課題であるとの指摘が多かった。予防という側面へのSCの介入の必要性が示唆された。 2、スクールカウンセリング活動の日米比較及びアメリカのスクールカウンセリング活動の導入 アメリカのSCの協力を得て、日本での成果を発表し、議論した。アメリカでは、多くの専門家が、役割を分担しており、その長短の検討が必要であることが示唆された。また、SCによって行われているピア・ヘルパーやコンフリクト・マネージャーなどの実践が予防的な観点からも必要だが、日本の担任制度を勘案しながら、より日本独自のSCによる予防システムの開発が必要であることも示唆された。 3、児童生徒・生徒指導相談ファイルの活用による教師へのサポート・システムの検討 主として、不登校の生徒の個別ファイルを作成し、教師へのサポートのためのSC活動の今後の課題を観点に分類した。(1)個別或いは集団によるカウンセリングだけでなく、コンサルテーション、ピア・カウンセリングなどの専門性の行使。(2)児童・生徒の発達の支援プログラムを用意し、多様な側面へと介入すること。(3)通常学級における個別的な配慮へのSCの関与。(4)授業における教育臨床的な観点の提示。(5)教師の職能発達における教育臨床的な側面への支援。(6)教師による「教育行為」とSCによる「心理行為」の相互の役割供応の明確化。
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