本年度は、昨年度の予備実験を踏まえて、二つの本実験を行った。 実験1 目的:何歳頃から他者の内的特性を把握するのか、何歳頃から他者の内的特性と一致するような行動予測ができるようになるのか、これらの時期を特定する。 方法:保育園の2歳児クラス15名、3歳児クラス21名。異なる特性を持つ4人が登場する一連の紙芝居を見せ、その後、登場人物の内的特性の把握と行動予測を求めた。 結果:他者の内的特性は2歳頃から可能となり、内的特性と一致するような行動予測は3歳頃から可能となることが明らかとなった。 実験2 目的:幼児は他者の内的特性をどのように把握するのか、その把握方法を明らかにする。 方法:幼稚園の3歳児クラス40名。二人一組で、3人の人物が登場する一連の刺激アニメをパーソナルコンピュータで視聴させる。このアニメから登場人物の内的特性が推論できるようになっている。その後、刺激アニメとは異なる特性行動などを示す反応測定アニメを見せ、刺激アニメとの異同およびその個所や理由を問う。 結果:3.4歳児は、他者の個々の行動を記憶し、それに基づいて他者の具体的行動特性を捉えるのではなく、他者の個々の行動を一般化し、他者をネガティヴ特性またはポジティブ特性を持つ人物として大きく捉えて、他者の内的特性を把握しているであろうことが示された。
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