研究概要 |
平成10年度における研究成果 暴力的テレビゲームが攻撃行動に及ぼす影響について,調査法および実験法によって検討した.研究1では,暴力的テレビグームを分類し,研究2の刺激材料として2つの典型的なテレビゲームを抽出することを目的にした.研究2では,テレビグームへの参加性(ゲームを視聴体験する場合と実際に参加プレイする場合)の違いが,挑発を受ける場面において,どのように攻撃行動(思考,生理反応を含む)に影響を及ぼすか検討することを目的にした. 【研究1】 大学生25名が,6ジャンル12種類の暴力的テレビグームについて,その性質(11項目),印象(11項目),人気度や難易度(5項目)などについて質問紙によって評定した.ゲームの性質では,〈役割同化性〉と〈刺激反応型〉の2因子が抽出された.印象については,〈暴カ性〉と〈娯楽性〉因子にまとめられた. 【研究2】 調査1から刺激材料として,典型的な〈役割同化型ゲーム〉と〈刺激反応型ゲーム〉が選択された.60名の男子大学生は,取り組んだ"学習課代題"の結果について,相手から低く評価されるなど挑発を受けた.その後,各ゲームごとに,実際にプレーする群と他者がプレーした録画を観察する群に分かれ,実験後,認知,感情、生理反応,および攻撃行動を測定した.その結果,〈役割同化型ゲーム〉は,キャラクターとの同一化をしやすいため,攻撃的な認知やネガティブな感情をより強く活性化するが,緊張を解消するためか攻撃行動を抑制する効果があった.一方,〈刺激反応型ゲーム〉は,アクション性(反射神経やコントロール技術)が高いために,攻撃的認知を活性化する傾向があることがわかった.
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