研究概要 |
(1) 子育てしている家庭の父親の母親への協力が家族機能のあり方(家族アイデンティティ)にどのような影響力を持つのか、(2) 父親の協力が子どもの共感性の発達とどのような関連を有するのか、(3) 父親の協力は父親自身のアイデンティティ発達とどのように関連するのか、という3点を吟味するために、児童を持つ父親と母親を対象に、家事や子育てに対する父親の協力を尋ねる質問紙(尾形・宮下,1998)、家族機能を測定する質問紙(渡辺,1989)、児童の共感性を測定する質問紙(桜井,1986)、父親のアイデンティティ発達を測定する質問紙(宮下,1987)等を実施して、検討を行った。 そして、(1)父親の「子ども・妻とのコミュニケーション」が高いほど、家族機能(家族アイデンティティ)の「結合性」や「表現性」、「家族理想化」、「民主性」、「纏綿性」の下位尺度得点が高いこと、(2)父親の「子ども・妻とのコミュニケーション」が高いほど、子どもの共感性得点が高いこと、(3)父親の「家事への援助」や「夫婦間のコミュニケーション」の程度が高いほど、父親自身のアイデンティティ発達の程度が高いこと、またその際、「専業主婦家庭」では「子ども・妻とのコミュニケーション」が、「共働き家庭」では「家事への援助」が高いほどアイデンティティ得点が高いことなどを見いだした。
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