本研究は臨床的方法と実験的方法からなり、2年間にわたって同時併行させて研究の初期の目標を達成させるものである。臨床的方法として聴覚障害児の家族内におけるコミュニケーション・モードの利用実態を分析した。その結果、家族内ではメンバー相互で使用するコミュニケーション・モードが習慣化され、物理的な状況に応じてお互いに“モード変換"していることが示された。実験的方法は、聴覚障害者と大学生を対象に手話の記憶に関する実験を計画し、資料を収集・整理段階である。現在のまとめとしては、手話に熟達した大学生とそうでない学生とでは手話の視覚的処理が異なること及び聴覚障害者の手話使用の開始時期に影響を受けていることが示されている。指導論に関しては、幼児期段階からどのようなコミュニケーション方法をとっているかを国内外の文献を整理し、出版した。幼児期段階でのコミュニケーション使用状況を教師-幼児関係、特に教師の働きかけの観点から分析した。今後、幼児期から手話を用いて指導している子どもたちの手話コミュニケーション分析を行っていく予定である。
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