本年度は3カ年の研究の最終年度にあたり、一昨年、昨年と検討してきたモデルにそって、質問紙調査を実施し、分析・考察を行った。また、個人の結果を全体の平均値とともに個人にフィードバックする試みも実行された。本研究において得られた主な知見は以下の通り。まず、ワーク・ファミリー・コンフリクトが仕事が家庭生活を阻害する葛藤、家庭・家事・育児が仕事生活を阻害する葛藤、両立しているために時間のないあわただしさを感じざるを得ない葛藤の3因子構造を持つことが明らかとなった。また、共働き男性群と共働き女性群および男性妻専業主婦群を比較したところ、共働き男性群と男性妻専業主婦との間には尺度得点間の差はまったくなく、むしろ男女間に有意差が見られた。これらのことから、女性が共働きする状況においても、仕事と家庭のあり方に関する心理学的概念において、男女差は引き続き明確であることが言えた。個人に結果をフィードバックするにあたって、フィードバックの意義、フィードバックされるべき内容、フィードバックの問題点などが検討された。これらの結果は、研究報告書にまとめられた。今後学会等で、結果を発表し、さらに検討を加える予定である。
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