研究概要 |
必ずしも順序のないカテゴリカルな変数に対する主成分分析,特に,正規直交な主成分得点と単純構造に向けての直交回転を伴う,いわゆる因子分析的用法が可能になるような方法を開発し,複数の適用例を通じてその実用化可能性を明らかにすることが,本研究の目的である.この方法は,端的にいえば,所与の主成分数の主成分モデルによって最大限説明可能になるように,各カテゴリーに数量を割り当てるものである.この方法は,数量化3類,対応分析に特別な制約条件を付したものと見ることもできるし,非線形主成分分析において,各変量への数量の次元を複数にすることを許容する一般化と見ることもできる. 平成9年度に関しては,主として,次の3つの目的で研究が行われた. 1.3相データの主成分分析法のために,筆者が開発したアルゴリズム(Murakami,1998)を一般化した手続きを用いたコンピュータ・プログラムを開発すること. 2.3つの質問紙形式のデータ・セットにこの方法を適用し,主成分,付与される数量の次元の決定方法と,解釈可能性について検討すること(村上,1997). 3.能力テストのデータに,この方法を適用し,問題項目の(特に識別力の)評価方法としての実用化可能性について検討すること. プログラムは,MATLAB言語を用いたパソコン版であるが,十分に実用的である.2と3の問いに対しても肯定的な答えが得られた.次年度は,さらに適用の対象となるデータ・セットを増やすとともに,回転の方法について集中的に検討する予定である.
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