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1998 年度 実績報告書

事象関連電位を用いた発達遅滞児・者の顔認知機能に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09610118
研究機関兵庫教育大学

研究代表者

今塩屋 隼男  兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (30044952)

研究分担者 沖田 庸嵩  兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (70068542)
キーワード事象関連電位 / 発達遅滞児・者 / 顔認知機能 / 自閉症 / 顔認識モデル / 加齢
研究概要

本研究は、近年研究が進められている顔に特異に増強する事象関連電位(ERP)を用いて、これまで行動指標によってのみ推測してきた発達遅滞児・者の顔認知機能について、精神生理学的立場からその処理機能を時系列を追って検討するものである。本年(平成10年)度は、平成9年度の研究を基に、(1)本電位の発達的変化についての検討[研究I]と、(2)障害者(自閉症者)への適応研究[研究II]を行った。
[研究I] 発達的検討:対象者を6〜12歳(各年齢20名)として、種々のヒトの顔(自己顔、既知顔、未知顔、動物顔)および物品を提示し、それぞれの刺激に対するERP反応を測定した。その結果、(1)人の顔に特異に増強するERPのNl70成分は、小学生の段階ですでに観察され、加齢とともに潜時の短縮と振幅の増加が生じることが明らかになった。また、児童期には顔の既知性判断に関するN270成分が未成熟の状態にあることが示唆されるデータが得られた。
[研究II] 障害児・者(特に自閉症者)への適応研究:自閉症者の場合にも、N170成分は惹起されたが、人の顔とそれ以外の刺激が明瞭に分離されない傾向があった。また、T5と16の振幅の分析から、自閉症者は左右の視覚野の機能分化が十分になされていない可能性が示唆された。顔の既知性に関係するN270成分の分析から、自閉症者は、顔認識ユニットの活性化過程段階で何らかの処理困難をきたしていることも示唆された。
次年度においては、不足データの収集と本研究の総合分析とまとめを行う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] 渡辺 亮太: "人の顔刺激に応答する頭皮上電位N170" 生理心理学と精神生理学. 15(2). 104-105 (1997)

  • [文献書誌] 渡辺 亮太: "自己顔と未知顔に対する顔関連電位の差異" 日本心理学会第61回大会発表論文集. 708 (1997)

  • [文献書誌] 渡辺 亮太: "自閉症者の顔刺激に対する事象関連電位N170" 中国四国心理学会論文集. 30. 5 (1997)

  • [文献書誌] 今塩屋 隼男: "顔関連電位を用いた発達遅滞児・者の顔認知に関する研究" 九州心理学会第58回大会発表論文集. 17 (1997)

  • [文献書誌] 今塩屋 隼男: "自閉症者の顔関連電位-その測定の試みと今後の可能性-" 兵庫教育大学研究紀要. 18. 161-166 (1998)

  • [文献書誌] 沖田 庸嵩: "顔応答脳電位N170における文脈効果" 中国四国心理学会論文集. 30. 7 (1997)

  • [文献書誌] 渡辺 亮太: "人の顔に反応する頭皮上脳電位" 生理心理学と精神生理学. 16(2). 67-76 (1998)

  • [文献書誌] 渡辺 亮太: "小学生の顔関連電位" 中国四国心理学会論文集. 31. 4 (1998)

  • [文献書誌] 渡辺 亮太: "顔応答脳電位の導出方法について" 日本心理学会第62回大会発表論文集. 469 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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