本研究は1)主婦の「環境に対する責任ある行動」が日常どの程度の頻度で行われているかに関する実態を明らかにする、2)「環境に対する責任ある行動」を測定するための尺度を開発する、3)その尺度と若干の個人的変数および地球環境保全に関する態度との関係を検討するために実施された。 大学2年生247名の保護者宛に「主婦の環境保全にかかわる行動の実態調査」として質問紙を郵送し、保護者が女性の場合はその本人が、そして保護者が男性の場合はその配偶者が回答を記入するように依頼した。返送された調査用紙のうち、回答遅れのあった14名を除き、該当者246名のうち、完全な回答を寄せた174名のデータを分析に使用した。調査用紙の回収率は70.7%であった。 分析の結果、目的1)に関して、「環境に対する責任ある行動」に関する28項目の行動のうち、半数の行動は実践の頻度が低く、相対的によく実践されている行動についても実践頻度が低かった。目的2)に関して、自己評価によって「環境に対する責任ある行動」の頻度を測定するための12項目から成る十分な内的整合性を有する尺度を開発することができた。第3の目的に関して、「地球環境保全を支持する態度」が「環境に対する責任ある行動」の極めて重要な規定因であることを示唆するかなり高い相関が認められた。有職主婦に比べて、専業主婦は「環境に対する責任ある行動」をより頻繁に実践していた。「環境に対する責任ある行動」に関する居住地のコミュニティの大きさによる差異は認められなかった。
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