研究概要 |
現在,小・中・高等学校で学校週5日制が部分的に実施され,新学力観に基づく学習指導が行われているが,本年度の研究目的は,昨年度と同様,それによってどのような新しい援助ニーズが生まれたかを検討することにあった。 この目的にしたがって,まず,先行研究がみあたらないことから質問紙調査のための項目開発と実態把握を目的とし,昨年度末に実施した自由記述式の調査データの解析を行った。一部のデータの回収が本年度まで持ち越し,データ入力と解析の進行開始が遅れたため,本年度の成果は,小・中・高校の児童生徒,保護者,教師の計279名より回答のあった446件の自由記述データの分析と,それに基づく質問紙の項目作成の準備をするところまでしか進まなかった。 しかし,この調査の分析結果から,学校週5日制実施後,援助ニーズの基になる悩みや困ったことについては,それがない人とある人に二分され,ない人では中高校生と教師が多いことがわかった。一方,悩みや困ったことが多かったのは学習負担の面や授業の面で,前者は生徒・保護者,後者は教師で多いことも明らかとなった。この成果の詳細は,平成11年8月開催の日本教育心理学会総会において発表の予定で,原稿は既に印刷中となっているが,来年度前半に全国規模で実施する予定の調査項目を選定する上で有用な資料となった。 なお,前述の調査結果の解析と同時進行で進めてきた,わが国の教育心理学,認知心理学,カウンセリング心理学等の中で学習指導のコンサルテーションに有用な研究成果の検討については,収集・分析作業が継続中なので,来年度にまとめて公表したい。
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