研究概要 |
☆平成9年度の研究成果 (1)子どもの発達を描いた優れた絵本をさらに収集し、すでに選定した6項目の大主題と280の主題にもとづき「子どもの心を理解するための絵本データベース」に総数で約1,700冊の絵本を入力した。 (2)平成9年度は、これらの「絵本データベース」を基礎に、「絵本は子どもの空想遊びをどのように描いているか」を心理学的な視点より分析・考察した。「空想遊び」の主題を検索することで212冊の絵本(未翻訳英語絵本19冊を含む)が抽出されたたが、その中でも(1)遊び空間の所在、(2)空想遊びへの入り口と出口、(3)変換(transformation)(見立て)の方法、(4)「ふり」の成立条件等の要因が明確に描かれているものを取り上げた。 そして1)空想遊びにおいて、どのような事実に根ざした変換が行われているか、2)空想遊びはどのように成熟するか、(3)外側から見ることの出来ない子どもの空想遊びの世界を絵本の絵はどのように描きうるか、(4)空想遊びを生み出すさまざまな空間、について考察した。 子どもの空想世界という目には見えないが確実に存在する心理的世界を研究するために、絵本作家・画家の「語り」(narrative)の手法や彼女(彼)等の子ども解釈に見られる発達観の分析は、「発達モデル」として心理学研究の中に有効に組み込みうることが分かった。
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