研究概要 |
大脳劣位半球損傷者の行動特徴を測定する質問紙を「劣位半球患者さんの行動チェックリスト」と、正式名称をつけ、昨年度に続いて、データを収集した。データの収集は、PT、OT、SW、心理士、職業指導員、看護婦、更生施設指導員などのリハビリテーション関連職種(平均年齢=34.0,SD=6.26)に、担当の個々の左マヒ者について、各項目に6段階で評定を依頼した。主因子法バリマックス回転による因子分析の結果、4因子解が最適であった。第1因子は、「思い込み」因子と命名し、17項目(「人の話をちゃんと聞いていない」「人の話を自分勝手に解釈する」など)からなる。第2因子は「大まかさ」因子と命名し、10項目(「やることがおおまかで雑である」、「物の操作が雑である」など)からなる。第3因子は、「安易な行動化」因子と命名し、5項目(「無理なことでも、できると思ってやってしまう」、「危ないと言われても、だいじよいうぶと思って、やってしまう」など)からなる。第4因子は、「内省力の低さ」因子と命名し、4項目(「深刻味がない」、「身体のことをいろいろ言うわりに無頓着である」など)からなる。複数の因子に負荷量の高い項目があり、項目数は30項目となった。 状況判断の検査と考えられている4コマ漫画の再配列の成績と、上記のチェックリストの間には有意な負の相関が認められた。例えば、配列正答率20%の者は、総得点78点/180点(=0.43)、第1因子得点44点/102点(=0.43)、第2因子得点25点/60点(=0.43)、第3因子得点10点/30点(=0.33)、第4因子得点11点/24点(=0.46)であり、配列正答率76%の者は、総得点65点/180点(=0.36)、第1因子得点40点/102点(=0.39)、第2因子得点19点/60点(=0.32)、第3因子得点8点/30点(=0.27)、第4因子得点9点/24点(=0.38)であった。 4コマ漫画の再配列の訓練で効果のあった左片マヒ者における、チェックリストの得点の改善の傾向はみられるが、現在データは継続して収集中である。
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