研究概要 |
発達障害における強度行動障害についての包括的な分析枠組みともいえる「行動分析-環境分析の2方向分析モデル」について、本年度は以下の点について検討した。 1.文献的・理論的検討 個人の3項強化随伴性に焦点を当てた論文は、最近8年間だけでも約1000篇にのぼるが、個人を取り巻く環境側の3項強化随伴性を扱った研究は殊の外少なかった。その中にあって、Glenn,S.S.,Ellis,J.,& Hutchison,E.(1993)の論文は注目に値するものであったが、個人の行動随伴性は扱われていなかった。2方向分析モデルは、「個人の行動が変容すれば、その個人を取り巻く周囲の環境の変容確率も増大し、また、個人を取り巻く周囲の環境が変容すれば、個人の行動の変容確率も増大する」というように、理論的には3項強化随伴性モデルを基盤にしているが、個人の行動分析-行動変容プログラムと環境分析-環境変容プログラムを同時的に用意するという点に、その独自性を求めることができた。 2.環境分析-環境変容プログラムの検討 発達障害者を取り巻く施設環境の随伴性を分析し、その随伴性に対応した環境変容プログラムとして、「正の強化の適正配置」に則った4領域28項目から成るセルフ・モニーターリングを組織的に導入している最中である。 3.行動分析-行動変容プログラムの検討 指導困難な強度行動障害(例:自傷行動、破壊行動、常同行動)をもつ発達障害者の行動分析を行い、その随伴性に対応した行動変容プログラムを作成し、順次その導入を図っている最中である。
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