本研究の目的は、大学生活の後半から卒業後にかけての進路選択過程における、大学生の時間的展望の変化を検討することであった。具体的な研究課題は、以下の3点である。第1に、進路選択の準備段階、就職選択行動や心理、および将来目標の側面から見た時間的展望の特徴を検討する。第2に、上記の縦断的に集められたデータから、進路選択に伴う時間的展望の変化プロセスを明らかにする。第3に、就職難と呼ばれる現代の社会的状況が、大学生の時間的展望に与える影響を明らかにする。 平成9年度から11年度にかけて縦断的な調査を郵送で実施し、3つのコホートの大学2年生から卒業2年目までの資料を収集した。進路選択の実際の状況や希望進路、将来目標の内容および将来目標についての意識、過去・現在・未来に対する時間的態度、自我同一性などに関して、縦断的変化を分析することができた。また大学4年生を対象に、個別面接調査によって、中学・高校・大学における進路選択の実際的状況、労働(アルバイトを含む)についての意識、今後の目標や生活信条などについて、3度目の聞き取りを実施し、変化過程を分析した。そして、これらの調査結果に関するまとめを報告書としてまとめた。
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