山田村でのインタビュー調査や横浜市民を対象とした郵送調査の結果から、以下の点が明らかになった。 (1)インターネットを利用するかしないかには、個人のデモグラフィック要因心理的特性よりも、ソーシャル・ネットワークにパソコン利用者が多く存在するという情報環境要因の方が強く影響していた。 (2)インターネットは主として電子メールのやりとり、WWWの閲覧に利用されており、ネットワーキング・コミュニティへの参加は平均すると3割程度であるが、中でも書き込みよりも閲覧、電子会議室やメーリングリストよりも電子掲示板への参加が多かった。 (3)ネットワーキング・コミュニティを見るだけの人々は、情報獲得が利用目的であり、その場での評判によって情報信頼性えを判断するが、コミュニティに書き込みする人は対人係形成が目的で参加しており、発信するころが抑制力によって信頼性を形成していることが予想された。 (4)2割弱はインターネットで始めて知り合って対人関係を形成していたが、その紐帯は既在の対面で知り合った紐帯に比べ相手の認知・情緒的な深さ・道具的な機能の面での違いはなかったが、他のメディアを使ってのコミュニケーションが少ない傾向が認められた。 (5)インターネットの対人関係は、ソーシャル・サポート機能を果たすこと、特に多種多様な他者から有効なアドバイスが得られるというだけでなく、自分と同じ問題を抱えている人が他にいることを知り、自尊心の低下が押さえられ、精神的傾向が保たれるというメカニズムがあることがわかった。
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