研究概要 |
2年目の研究実績として,次の2点があげられる. (1) 離乳様式の全国実態調査(マクロな研究) 現在の日本における離乳様式の種類・頻度に関する全国規模の質問紙調査を,一定の基準によって抽出された各地保健センターの協力のもとに,3歳児健診の場を利用しで行い,母親から返送されてくる回答用紙の内容を順次整理し,コンピュータにそのデータを入力していっており,現在そのデータ入力がほぼ終了したところである(入力データが一部消失し,予定よりも時間を所要してしまった).入力がすべて完了した段階で,その地域差・性差・産歴差などを3年目の課題として分析する予定である. (2) 離乳の行動観察(ミクロな研究) 桶谷式断乳とラ・レーチェ・リーグにおける卒乳のそれぞれについて,それらを実施する家庭での行動観察を行い,その結果を分析し,考察を行った.その結果,断乳は離乳に関して劇的な効果を生むものの,それを実施する母親にそれを肯定する気持ちと否定する気持ちの両価的感情が併存すること,卒乳においては,数年という時間がかかる場合もあるが子ども主導でスムーズに離乳が進行すること,それにもかかわらず1歳を過ぎた時点で摂乳行動に質的変化が生じることなどが明らかにされ,それぞれに特徴と利点をもった離乳方法であることが確認された.このことは断乳と卒乳という対照的な離乳が,それぞれに意味のあるものであり,私たちの離乳様式,ひいては育児スタイルの多様性の大きさを示唆している.現在は,その成果を投稿論文の形にまとめつつあるところであり,次年度には公表の予定である.
|