本年度の研究目標は、MMPI新日本版と他の心理学的測度を実施し、両者の相関関係を探索的に検討することであった。他の心理学的測度として、自己主張性尺度、FNE(Fear of Negative Evaluation)、および、CISS(Coping Inventory for Stressful Situations)を採用した。 MMPIとこれらの心理学的測度を実施した結果、得られたデータの中で入力が完了した数は、MMPI、501名分(男450、女51)、自己主張性尺度、230名分(男199、女31)、FNE、221名分(男209、女12)、および、CISS、231名分(男220、女11)である。不完全なデータを除き、実施集団ごとに、MMPIの基礎尺度と各心理学的測度との相関係数を算出してみたところ、以下の結果が得られた。なお、女性被検者数が圧倒的に少ないため、分析対象は男性のみである。自己主張性尺度の第1群(N=82)において、3以上の相関値を得た尺度は、第2(‐.43)、第7(‐.38)、第0尺度(‐.50)であった。第2群(N=97)でも、第2(‐.49)、第7(‐.44)、第0尺度(‐.66)では同様の結果が得られたが、第8尺度でも高い相関値(‐.40)が見出された。 FNEの第1群(N=96)において、3以上の相関値を得た尺度は、K(‐.37)、第2(.31)、第7(.34)、第0尺度(.31)であり、第2群では、K(‐.30)、第7(.34)、第0尺度であった。第1群では第2尺度も3以上であったが、第2群では.22であった。CISSの第1群(N=102)において、3以上の相関値を得た尺度は、T尺度と第0尺度(‐.38)、E尺度とK尺度(‐.35)、A尺度と第0尺度(‐.38)であった。第2群(N=105)では、E尺度とL(‐.34)`K(‐.41)、第6(.36)、第7(.35)、および第0尺度(.34)、A尺度と第0尺度(‐.27)であった。第2群のE尺度と比較的高い相関が見られた。
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