本研究は3実験からなる。実験1では、一般道路約20km、約30分走行の実験コースを被験者9名にコメンタリー・ドライビングさせ、どのような内容が何回コメンタリーされるかを検討した。その結果、コメンタリー内容の約85%が「動く他車・他者」「自車のミラーによる安全確認」「自車の動き」「安全確認」「信号」の5分類で占められ、免許長期者に「動く他車・他者」「道路の状況」「他者への独白」「自車の動き」のコメンタリー数が有意に多いことが明らかになった。 実験2では、コメンタリー・ドライビング法の安全運転への教育効果を明らかにするために、運転経験の浅い若年運転者7名に、模範的なコメンタリー・ドライビンクを行っている優良運転者の運転状況をビデオで見せることにより、若年運転者の認知・予測・判断にどのような影響を与えることができるかを検討した。その結果、模範的なコメンタリー・ドライビンクのビデオを見ることにより、コメンタリー総数、「人のいる駐停車車両」「信号」「信号変化の予測」「安全確認」「危険予知・予測」「他者への独白」「自車の動き」に関するコメンタリー数が有意に増加し、若年運転者の安全運転のための心の働かせ方を向上させることができ、運転者教育への有効性を明らかにすることができた。 実験3では、安全運転のために運転者がどのように心を働かせているかを、コメンタリー・ドライビングの視点からテストするコメンタリー・ドライビング法による安全運転テストの作成に向けての予備的検討を行い、テスト作成の見通しを立てることができた。 以上の研究成果を、研究報告書として取りまとめた。
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