研究概要 |
小学生・中学生用5因子性格検査の作成にあたり,平成9年度には小学生用5因子性格検査(FFPC)を,また,平成10年度には中学生用5因子性格検査(FFPS)を作成し,その標準化を行った.平成11年度では作成した尺度を利用した発展的研究として以下の2研究を行った. 研究1.児童の攻撃生と5因子性格特性との関係 近年,子どもの行動傾向として問題となることの多い,攻撃性を取り上げ,5因子性格特性との因果関係の分析を行った.調査対象は小学生4,5,6年生1206名で,FFPCと攻撃性質問紙(HAQC)同時に実施し,重回帰分析を用いて性格特性から攻撃性への因果関係の分析を行った.その結果,攻撃性4変数に影響する性格5変数の結合はそれぞれ特有のパターンが示され,細分化された児童の攻撃性の概念をある程度明確にすることができた. 研究2.児童の性格特性がストレス反応におよぼす影響の分析 小学生4,5,6年生243名にFFPCとストレス反応尺度(SRS-C)を実施した.性格特性の内,外向性と情緒性を外生的潜在変数とし,4ストレス反応を内生的潜在変数とする因果モデルを構築し,共分散構造分析を用いて因果関係の分析を行った.その結果,情緒性はストレス反応の内,抑鬱・不安および身体的反応を生じる要因となる.また,外向性は不機嫌・怒りおよび無気力を生じる要因となり得ることが明らかになった.
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