テレビ会議システムが教育利用可能になるならば、過疎地教育の補助的な利用や、生涯教育などの利用に可能性が広がると思われる。そこで、本研究ではインターネットを用いたテレビ会議システムによる遠隔教育を実施し、学生の意識調査を行い、遠隔教育の可能性があるか否かの検討を行う。 実験1 : 1回目は、1997年11月7日の午前中、Y大学とH大学を接続して実施した。内容はネットワークの情報倫理としてネチケットについての講義で方法はカメラの前で資料を提示しながら実施した。2回目は1997年12月14日午前中、内容は1回目の実施で音声の聞こえにくかった部分の復習を実施した。方法としては、資料を提示しないで、カメラの前で講義を行った。実施の後、遠隔教育に関する感想や意識についてのアンケート調査を実施した。アンケートの結果から、遠隔講義に抵抗があるかについては48%がそう思わない。しかし、身近に教員が接する方が勉強になるについては86%がやや思うまたは思うと回答している。また、半期の講義のなかで数回なら遠隔講義が入ってもよいについては57%がやや思うまたは思うと回答している。以上のことから、学生は遠隔講義に興味をもち数回の講義を実施してもよいと考えているが、一方身近に教員が接することも望んでいることが認められた。 実験2 : H大学1年生とK大学1年生を対象に、1回目はK大学の教員によるネチケットについての講義。2回目はH大学の米国からの客員教授による米国におけるインターネットを利用した教育についての講義であった。交換講義の形式をとり、両方の講義の後にアンケートを実施した。その結果、遠隔講義には興味の有る学生は50%以上であるが、やはり音声が聞こえにくいという結果となった。両実験の結果から、インターネットを用いた遠隔講義の実施については音声についての技術的な問題を克服可能であれば半期の講義の中で数回取り入れることは可能であることが認められた。
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