研究概要 |
本研究では、成人期の女性の自我同一性の達成度と、社会的・家庭的役割の遂行や職業イメージ、生活の満足感などの関係を見るために、看護婦740名を対象に調査を行った。 自我同一性の測定には遠藤らによる19項目から成る測定尺度を用い、他の調査は筆者の作成した調査紙を用いた。結果の処理は、自我同一性得点をまとに同一性達成度を3群に分類し、他の調査項目との関係について、数量化II類およびχ^2検定による分析を行った。 今回の対象者の自我同一性得点は、最大88点、最小31点、平均68.2点で、標準偏差は7.9であった。この結果から同一性達成度を、高位群96名(73〜88点,30.1%)、中位群147名(64〜72点,46.1%)、低位群76名(31〜63点,23.8%)に分類した。 調査の結果、同一性達成度と職業イメージとの関係では、職業の社会的意義、仕事のやりがい、職業に対する誇りなどの影響が強く、役割の遂行や関与との関係では、職場の同僚としての役割、友人としての役割、家庭での妻としての役割の関与が高く、生活の満足度との関係では、現在の対人関係や個人的・家庭的生活との関係が強いことが分った。また独立性の検定では、仕事のやりがい、職業への誇り、職場での役割、友人としての役割、現在の個人的・家庭的生活、自分の生き方や価値の追求などに有意差が見られた。 今後、研究内容を質的に深めるために、今回の調査をもとに対象者を選定し、面接調査を開始する予定である。面接対象者は、高位群、中位群、低位群より各々10名づつ計30名とするつもりである。
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